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吉田拓郎とつま恋と僕 2010年11月13日 お仕事 コメント:2

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『吉田拓郎とつま恋と僕』
木下晃(きのしたあきら)著
講談社発行 11月末発売予定 1400円(税別)



去年の今頃に企画をスタートさせた本が
いよいよ今月末に発売となります

実際に出版社が決まり
制作に着手となったのは春になってからでした
それから数えても半年は経過したことになります

著者であるつま恋音楽プロデューサーの木下晃さんには
ヤマハのある方を通じて早くから了承をいただきました
2010年が明けてつま恋に出向き、すぐにお会いして
内容構成について相談をさせていただいたり
そのやりとりは思っていた以上にスムーズに進みました

木下さんはその経歴からすれば
手の届かないような場所にいる方といってもいいのですが
ご本人はまったくそうしたことのない明るく気さくな方でした
お話も面白く冗談が好きで
拓郎さんをはじめ、本に登場する方々への気配りや
尊敬の気持ちなどがお話からひしひしと感じられました

「木下さんのこのままを本にしたい」
僕は木下さんと時間を一緒にするごとにそう強く思いました

企画者はいつも出版社と「どんな本にするか」で戦うことがあります
両者はもちろん同盟者ではありますが
時として、企画意図がいろいろな理由で曲がっていくことが少なくないのです
しかし今回はどうしても木下さんから感じ取った雰囲気を
そのまま出したい、スタンスは曲げたくない
そんな思いが強くあったのです

当初、遅くとも9月中には出版したいという目標がありました
理由のひとつとして、つま恋で拓郎写真展が開催されていたからです
記念すべき写真展にあわせて木下さんの本も並べていただければ
これ以上のことはない
木下さんはもちろん講談社の担当さんもそう思っていたのです

しかし作業が進むにつれ
本の内容について「本当にこのままでいいのだろうか」
という疑問がわき上がってきたのです
出版社側は
「できるだけ拓郎さんのことについてどんどん書いてほしい」
というオーダーがありました
しかしこれはあくまでも木下さんの本です
拓郎さんのことを語る内容ではありますが
木下さんとつま恋の歩みをそこに表現しなければ
著者が木下さんである必要性が薄れてしまうかもしれない

苦悶する日々が続きました
木下さんは
「いつでも神原さんの言う通りに相談を受けますし内容に手を加えます」
という寛容な返事をいただいていたのですが
僕は踏ん切りがつかず、〆切をどんどん延ばしました

ふだんは〆切をどんどん延ばすことはしません
時間を守ることはプロとして絶対のことだからです

9月つま恋の写真展が終了し10月に入り
装丁デザインや挿入する写真をどうするかという段階になりました
まだ本文は完全にFIXされていませんでした
しかし作業は進んでいきます
装丁は萩一訓さん。
拓郎さんのポスターなどのデザインを手がけられています
写真は写真家の田村仁さん。
タムジンさんの愛称でファンの間で慕われています
蒼々たる顔ぶれになってきました

僕と木下さんはといえば
「あの日のことをもう少し詳しく」
「木下さんの率直な感想はどうだったんですか」
「拓郎さんについて正直どう感じましたか」
1975年はこれでいいのか、85年は、2006年は。
しかし、ここでハッとなりました。
拓郎さんの本だからといってコンサートがあった年の話だけでは
他の本と似た内容になっているんじゃなかろうか
先入観に縛られすぎてやしないだろうか

「神原さん、本文の内容がわからないと写真も選びようがないよね」
タムジンさんからきつーいプレッシャーです
(タムジンさんは優しい接し方でしたが、僕は切羽詰まっていた時期でした)
周りはジリジリしています
もう時間はないのです
ギリギリの勝負が続きました

2010年10月16日 木下さんとあとがきのやりとり
いろいろな想いをこめていただきたいのですが
ページ数には限りがあります
あとがきの掲載ページ数は4ページから動かせません
しかし木下さんから届いたあとがきは、7ページ分もあったのです
一字一句漏らしたくない
最後のせめぎ合いでした
木下さんに校正をかけたあとがきを見ていただき
週明けに「これでいいです」と了解を得ました

「これで終わりなんですね。自分の本なのに涙が溢れてきました」
木下さんのメールにはそうコメントが添えてありました

本文がやっとかたまりタムジンさんに写真を選んでいただき
木下さんも交えてどの写真を使うのかみんなで確認をとりました
もちろん拓郎さんの許可を得た写真ばかりです

11月頭に萩さんのデザインも大詰め
4日にはデザイン周りのOKが出て週末には画像の公開をしてもいいよ
という流れになったのです

この週になってやっとタイトルや内容の見出しなど
本の情報を公表することができるようになったのです

拓郎さんのファンのみなさんは
ツイッターでつぶやく情報に敏感に反応していただきました
さらに暖かい声援までいただきました
僕は過去に何十冊も本を作ってきていますが
発売前に、こんなに熱い、暖かい声援をもらったことは初めてです
涙するしかありませんよね

実は、途中頓挫しかけたことがあったのです
拓郎さん、つま恋、木下さん
こんな方々の本なのに出版できないの!?
目の前が真っ暗になるような状況があったのです
しかし木下さんに
「僕はいつまでも待ちます、神原さんにおまかせします」
という応援をいただけたことで挫けずにやってこれました

今では本当に出版されるんだなぁと
そんな気持ちです
19日頃に印刷所からいちばん最初の見本誌が届くそうです

本を手に取ったら、僕はきっと泣きますよ


拓郎さんありがとうございます
木下さんありがとうございます
そろそろ発売ですね
ドキドキが止まりません


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コメント

わー感謝!
拓郎さんのファンのみなさま、拍手など本当にありがとうございます
また、ちょっとずつ舞台裏の話など書きますね!

発売はいよいよ来週です!
  1. 2010/11/14(日) 21:09:59 |
  2. URL |
  3. 神原将 #JalddpaA
  4. [ 編集 ]
ありがとうございます!
このブログで、かつて拍手が60を超えたことはありませんでした・・・
拓郎さんのファンのみなさんの暖かい拍手、嬉しいです!!
ありがとうございます!

ブログに記載しているコメントや本の表紙画像など
ご自身のブログに転載されて紹介していただくのも問題ありません!
貴重な時間と大事なブログスペースなどを使っていただけて
かえってこちらとしては嬉しいのです


過去、10数年このように本を作ってきて
ここまでファンの方々に期待と歓迎をされたことはありませんでした
そうした意味でも、僕は本当に拓郎さんと、そして木下さんという
方々と出会えたことを幸せな出来事だと感じています!




  1. 2010/11/22(月) 18:32:13 |
  2. URL |
  3. 神原将 #JalddpaA
  4. [ 編集 ]

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